2018年2月17日土曜日

米国株投資家が注意すべき為替リスク。


米国株投資家が注意すべき為替の変動

投資にはリスクがあります。

1つ目は株式市場全体を覆う「市場リスク」です。2つ目は個別企業ごとに存在する「個別リスク」です。

もう1つ外国から投資する際のリスクとして「為替リスク」が挙げられます。日本人なら円を売ってドルを買い米国株に投資しているわけですが、為替が変動するたびに保有する米国株の評価は変化します。円安の場合は時価評価は高くなりますが、円高の場合は時価評価は低くなります。

一方で円をドルに換えるときは円高の方が有利で円安の場合は不利です。なので円高の時は時価評価は低くなるが、米国株を買う時には有利です。円安の時は逆の関係が成り立ちますので、一概には円高円安のどちらがいいとは言えないのかもしれません。


日本円での受け取り額は常に安定しない

しかし仮に配当金を生活資金として見込んでいる場合には、常に為替の影響により貰えるお金が変動するので受取額は安定しません。日本の将来を悲観して、「将来は円安になる!!」と見込んでも円安になるとは限らない。円高が進み、受け取るべきお金は予想していたよりも低くなる可能性も排除できません。

例えば老後の生活に米国株投資による配当金を年金プラスで考えている人にとって、もし1ドル110円から100円の円高になれば、生活に多少なりとも影響はあると思います。毎月5万円の配当金が4万5千円になれば影響はあります。

また1ドル80円という超円高にならないともいえません。そんなことはないといわれるとそうかもしれません。ただ過去にそういうことがあったのは事実です。そうなったとき受け取る資金は相当目減りしているでしょう。


為替の動く要因は何なのか?

「日本の国力が低下していくので将来は円安になる」、という考え方はあまり信用できません。なぜなら日本はすでに国力が低下していますが、円安になっていないからです。日本が国力低下したと言われる、失われた20年間のもとでは大きな円安になっていません。むしろ円高であったともいえます。デフレは円高を引き起こすといわれるし、経常黒字国である日本は円高になるという説もあります(経常黒字ということは、常に日本にお金が入ってきている状態。言い換えれば常に外国のお金を円に換えている。円買いが常に発生している状態)。


為替の長期間チャート。失われた20年でも円安にはなっていない。ロイターより

為替に大きな影響をおよぼす中央銀行の政策ですが、現時点では米国は緩やかですが利上げをしていく予定です。一方で日本は緩和策を継続しています。これは相当な温度差で、常識に照らして考えればドル高円安が進んでもおかしくはないです。しかし実際はアベノミクス時のピーク時1ドル125円までにはいっていません。アベノミクスのピーク時にはFRBも緩和、日本銀行も緩和で中央銀行の政策としては同じ方向を向いていたので、政策の温度差はなかったにもかかわらず。


為替は投機や雰囲気といった、ファンダメンタルとは関係のない動きも重要な役割を果たしています。

リスクオン全開でイケイケドンドンなときは円安、リスクオフの時は円高といったように。または投機筋が仕掛けてきたときなど。短期的には市場参加者の思惑で決められるのが為替という場所のような気もします。

国の経済状況とか、中央銀行の動向は為替の動きの一要因にしか過ぎないと思います。為替が動く要因が複雑に絡んでいるので「これが為替の動く要因だ」というのがないので、予測は非常に難しいです。


リスク回避の円高の意味

少し前に、為替の専門家であるJPモルガンの佐々木さんという人が、

「リスク回避の円高とは円を買い戻すからそうなる」

ということをテレビで言っていました。

リスクが発生すると投資家は、円を買うという能動的行動をとるのではなく、円を反対決済して買い戻す、という消極的行動を取るという意味です。リスク局面での円高を考えると、確かに買い戻していると考えた方が納得がいきます。地政学リスクは日本にもあるにもかかわらず北朝鮮のミサイル発射で発生する円高、また東日本大震災での円高。これらは買戻しから起きている現象だと考えた方が納得がいきます。

おそらく根底にあるのは、低金利である円を借りて、ドル資金の調達やいろいろな資産に投資しているということだろうと思います。リスク時はそれらの決済が起きるということじゃないでしょうか。リスクが発生したからリスク資産の圧縮に動き、それが円の買戻しという行動に繋がるという一連の動きです。


為替リスクは大きい

いろいろ考えると、イメージとしての国力低下からの円安ということは説得力がなく、むしろ為替の動きには、投機の動き、中央銀行、経常的な国際収支などいろんな原因があるのでどうなるか分からない、という方が説得力があります。先ほども書きましたが、国力が低下して円安になるのならば、すでに円安になっているはずです。

日本人は資産の時価評価が大きく動く要因のうち市場リスク、個別リスクのほかに、「為替リスク」も背負っています。ほぼ確定された資金を円で受け取るということが、為替リスクのために日本の米国株投資家にはできない。日本にも連続増配銘柄はありますが、将来への確度と企業数が少ないので、別の意味で日本企業への投資はためらわれます。

1ドル110円から1ドル100円になると、資産評価は約10%下がります。10%はけっこう大きい。このリスクを日本人はとって米国株に投資していることになりますので、頭の片隅に入れておいた方がいいと思います。




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相場の先行きは分からないので、まあ粛々と投資を続けましょう、という話です。