2017年11月19日日曜日

米・小売業の今後の行方はどうなるのか?



 米小売り最大手のウォルマートが好調な決算発表で、約9%上昇しました。あの大企業にしてこの株価の上昇は凄いです。また私が株を保有する小売り大手のターゲットは決算内容は好調だったものの、第4四半期見通しが市場予想より低かったので、株価はマイナス9.9%と急落しました。翌日からの営業で株価は幾分かは戻しましたが、、、。


米国の小売業の株価はかなり動いているようです。米国の小売業に何が起こっているのか、これからどうなるのか自分なりに考えてみました。




 小売業というと利益率が低く、投資には適していないという人がいるかもしれません。が、小売業がなければ一般の人に多くの食料や物を届けることが出来ません。ウォルマートは生活必需品セクターに分類されているという事実からも、小売りというのがいかに人々に必要な業態なのかがわかります。ただ確かに同じものを売っているので、最終的には価格競争に陥りやすいのも事実だと思います。


しかし全部の小売業が儲からないといわれればそうではなく、米国の小売業界でのウォルマート、日本でのセブン&アイHDなどは小売業界における勝ち組です。大きな組織になったり(ウォルマートやセブンなど)、やり方次第(ノードストロームなどの高級化路線など)では儲からないと言われる小売業でも、利益は出ています。


ちなみに小売業でも連続増配銘柄はけっこう多く、ターゲットやウォルマート、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、ロウズなどが連続増配しています。


そもそも、物をまとめて小売するシステムがないと、人間はわざわざ1つ1つ生産者から物を買わないといけないわけです。そんなことは無理なので、小売業というのは世の中に必要なことは自明です。




 しかし小売りの形態というのは時間とともに変わっています。今の現状は、アマゾンの登場により小売業が大きく変化している真っ只中にあるといえます。米国株をやっていれば分かりますが、米国の企業は絶えず競争そして変化しています。そんな中でも今の小売業はかなり大きな変化が起きています。


アマゾンの脅威というのは前々から分かっていることで、各社ともアマゾンの攻勢に対してどういう対応して、その結果が徐々に分かってきているのが今の現状ではないでしょうか?


今回のウォルマートとターゲットの決算はそれを表していたと思います。

  • ウォルマート 増収減益 
  • ターゲット 増収増益
となっています。


既存店売上高は両社とも増加、ネット売上も増加、しかし利益は減少という構造です。両社ともアマゾンの脅威に対してネット販売に力をいれ、さらに価格競争で負けないように簡単にいえば売価を下げました。


その結果、売上は増加して、ネット販売も増加、しかし売価を下げると当然利益は減る、ということで、営業利益や純利益は減少しています(他にも人件費の上昇や投資により利益が減った面もある)。アマゾンに対して、同じようにネット販売に力をいれて、価格も下げる。結局かなりの金額を投入してアマゾンと同じようなことを始め、売上を上げているという結果につながっています。




 利益は減少しているわけですが、この決算を見るかぎりでは、両社はこれから十分に戦っていけるし、生き残っていける状況だと思います。アマゾンが現れて小売業のすべてを破壊するのではなく、両者のようにむしろ売り上げを伸ばしている企業もあります。


ちなみに百貨店大手のメーシーズは減収増益でした。確かに売上は下がっていますが、適切な経営により増益は確保したということで、最悪な状況は避けられていると思います。


といって小売業界がこれで一安心というわけでもなく、見えないところでは確実にアマゾンによる浸食が進んでいます。
また米国の雇用統計でも小売業の労働者が減少しているトレンドが確認されます。


米国の小売業ではやられるところは確実にやられているということです。アマゾンの脅威にあまりさらされない小売業もあるだろうし(ロウズやホームデポなど)、アマゾンにガチンコで対決するウォルマートなどの企業もあります。対抗姿勢をみせられないまま、沈んでいく企業もあります。


結局アマゾンの登場で人々の行動様式が少し変わったわけですが、人間がお店に出向いて買い物をしなくなるというところまではいっていません。やはり食料品や専門家のアドバイスが欲しい商品、実際に見て買わないといけない商品、家族で買い物を楽しみたい時などはやはりお店に行く必要があるということでしょう。


そうはいってもまだまだネット販売は伸びると思います。




 しかしうっすらとですが、新たな小売業の業界図が見えてきたのではないでしょうか?おそらくウォルマートは勝ち組、手前味噌ながらターゲットは株価を見るに勝ち組とは言えませんが、生き残ることはできるでしょう。ホームデポやロウズなどの住宅関連も今のところ勝ち組です(住宅バブルがはじければ分からない)。


しかしドラッグストアチェーンのCVSヘルスやウォルグリーンはアマゾンの参入が噂されていて、どうなるのか分からない状況です。ただウォルマートの例を見てわかるように、大手はネットシステムを構築できる資金や資源があるし、店舗での受け取りなどアマゾンにはできない強みもあります。おそらくこれらの大手が何もしないわけはないので、私は心配はないと思います。


そして負け組といわれる百貨店業界ですが、ここにきて意外に健闘している部分が見えます。メーシーズは減収増益で、JCペニーは減収減益ですが、既存店売上高は1.7%増です。まあ目に見えていいというわけではないですが、意外に健闘しているという印象です。




 アマゾンアマゾンといいますが、今生き残っている大手の企業はけっこう生き残る確率が高いと思います。資源があるし、信用もある。アマゾンの行動パターンは安売りと大体わかっているわけで、どう対応すればいいかも分かってきたんじゃないでしょうか?


経営者も馬鹿ではないですから、アマゾンがネットで売って安く売ってくると分かっていれば、同じことをすればとりあえず生き残れると考えるだろうし(顧客はアマゾンに忠誠を誓っているわけではなく、便利さと安さに惹かれているので)、アマゾンとは違う方法でお客さんを惹きつける方法も考えると思います。現実のお店の魅力というもあると思いますし。


米国人の旺盛な消費行動や米国の小売りの先進性を見ると、米・小売業界はなかなか捨てたもんじゃないと私は考えています。ちなみにウォルマートは年初来で驚愕の+41.02%となっています。アップルの+46.90%とあまり変わらないという結果です。